20人が本棚に入れています
本棚に追加
教室に戻った後に担任からもう一度説明があったが
その中に
飛び降りたなんて、誰がその事故を起こしたか
なんて一言も説明はなかったが、
事故があったという言葉と屋上には近づくなという言葉を会話の中に何度も挟んでいた。
そして大人が本気で何かを隠そうとするその態度に
このクラスで気づかない人間はもう誰一人としていなかった。
『親友』が飛び降りたのだと
このクラスの中にはイジメがあった。
一人の人間が主犯となって『親友』をイジメていたのだ。
始まりは本当に思い出せないくらいに些細なことだったと思う。
イジメられていたのは僕だった。
最初の方まだ耐えられるレベルで
無視されたり物がなくなったりするくらいのものだった。
だからすぐに僕を助けようとしてくれた『親友』に何もしないでとお願いをしていた。
親友にまで飛び火が行くのを僕は恐れた。
それでも
その時は『親友』が陰ながら会ってくれているだけで耐えられていた。
でも
イジメはエスカレートしていった。
その『主犯』は恐ろしいほどに賢く、絶対に大人にバレないように僕をイジメてきて
僕は、この『主犯』に逆らうことはできないと、
恐怖した
そして
僕が家に帰ると一人で過ごしていることを
『主犯』が知って
家に来て夜中まで僕をイジメたのだ。
親がいないタイミングに
休みなんて関係なく
ほぼ毎日。
恐怖は絶望へと変わり
いつか僕は殺されてしまうのだと怯えながら過ごし
ついに
逃げ場所を失った僕は
助けを求めてしまったのだ。
僕の人生の中での一番の過ちだった。
僕をイジメから守ろうとした
『親友』は僕を人質にイジメられ始めた。
お前が抵抗すれば、アイツをイジメる。
『主犯』は人を絶望させること、人を操ることに長けていた。
誰もが彼に怯え誰もが彼に従った。
このクラスに傍観者はいなかった、
全てのクラスメイトが加害者だった。
そして……僕も、
加害者になった。
それでも『親友』は僕を守り続けてくれていた。
分かってる仕方ない
あーする以外に道はなかった、
君は何も悪くない。
僕が言い訳する前に『親友』は僕を許し続け、
僕に笑顔を向けた。
そんな彼を
そんな彼の人生を終わらせる一歩を踏み込ませたのは
僕だろう
『親友』はイジメによって自殺したのではない、
きっと僕の放った一言で彼は空に飛び立つ一歩を歩む、決心をしたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!