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9月9日
この日まで学校をサボって全ての計画を立てた。
その間学校から連絡も無く、母にバレることはなかった。
9月9日から13日の間に僕は
2人の人間を救い
2人の人間を罰する。
これは僕の人生をかけた計画
そう、これが
僕の群青色の青春だ。
一番についた教室の静けさと
夏休み前だったらありえない光景に
違和感を感じさせた。
『主犯』だった彼の机が溢れた悪口でカラフルに色付けされていた。
もう彼は完全に『被害者』になっていた。
僕は自分の席について筆箱を出して勉強の準備をした。
そのあと、ちらほらと教室に入ってきたクラスの人間達は僕を見て驚いていたが
別段話しかけることはないまま
自分の席に着いていった。
教室に入ってきた『被害者』も僕を見て驚きそして、不敵に笑って席についた。
『被害者』の顔は明らかに傷だらけで、僕が学校に来てない間、酷い暴行を受けたのだろう。
そのあと担任がきて何事もなかったかのように授業が進められていった。
誰に喋りかけられることも無く、遠目でクラスの人間たちは、僕を見ていた。
昼休みになり僕は第一の目的を探しにいった。
第一の目的それは
ある女生徒。
『親友』が僕にした、お願いは。
ある女の子を助けてほしいと言う願いだった。
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中庭の渡り廊下
「なんでだ、なんで受賞を辞退なんてしたんだ。お前には誰にも真似できない才能があるんだぞ」
声を上げて教師が女生徒に向かって問い詰めていた。
「私にはそんな資格ありません。こんなもの才能なんて言わないでください。」
「これは仕方ないんだ!本能のままにお前は動いただけなんだ。才能のなせる技なんだよ。」
「なんて言われても私はもうやりません。」
「こんなことで無駄にするな。」
女生徒は黙って教師を睨みつけた。
「こんなことって、、、、」
僕は教師と、その女生徒の間に割って入った。
「何騒いでるんですか。やめてください。」
「なんだ君は、君にはかんけ…………い……」
教師は僕の顔を見てそれ以上、何も言わずにその場を立ち去った。
大丈夫?と声をかけ、彼女のほうを向いた。
『大丈夫です、なんでもないので』
と立ち去ろうとした彼女の手を、僕は掴んだ。
「なんですか?」
やめてくださいと言いながら
僕の手を振り解こうとしたとき僕の顔を見て彼女は止まった。
僕はどうやら学校をサボっている間に有名になったようだった。
とりあえずそこに座ってと
僕は彼女をベンチに誘導した。
「さっきの話聞いちゃったんだけど、何かを辞退したの?」
「あなたには関係ないです。」
本当に?
そう聞きながら、僕は知っていた。彼女が何に悩み、何を辞退をしたのか。
「本当です。関係ありません」
やっぱり私失礼します。彼女は立ち上がり、去ろうとした。
「関係あるよね。僕の親友の自殺する瞬間をカメラで撮ったんだから。」
そう
僕が『親友』にお願いされたことは、この『カメラ女子』を救うこと。
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9月2日
病室
「君をここに呼んだのには理由がある、君にお願いがあるんだ。」
何も喋らない僕を一度見て、彼は深く息を吸い、また話し始めた。
「僕が飛び降りる前に、カメラを僕に向けた女の人と目が合ってしまってね。
僕は笑いかけてしまったんだ。
きっと彼女は今すごい罪悪感に駆られてカメラをやめてしまうかもしれない。
僕たちと全く無関係な人が罪を背負うなんて、僕には耐えられない。
だからお願いだ。その女の人を救って、カメラをやめないようにしてほしいんだ。」
そこまで話すと、また深く息を吸い僕の顔を見た。
僕は正直何を言っているんだ?と思った。
でも感情が壊れる感覚を知っている僕は、
今の彼の異常な穏やかさに何故か違和感を感じなかったのは
『親友』はきっと感情がなくなってしまっているんだと思った。
何も言わない僕の肩に手を置いて彼は、
「君のせいじゃないよ。僕が弱い人間だったからさ、君は君を責めてはいけない。僕が愛した君を、君も愛してほしい」
そう…、言ったんだ。
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