一雫の青は、透明な水に滲んで広がる

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『親友』に病院で頼まれたことを簡単に説明して 僕が何故彼女にカメラを諦めさせないようにしているのか説明した。 「『親友』君は凄い奴だな、それなのに私は。」 先生は下唇を噛みしめてうなだれていた。 今更後悔したのかと思ったが 口には出さなかった。 「先生カメラ僕が、預かっていいですか?、あとあの写真を持っているなら貰ってもいいですか?。」 「分かった昼休みにでも、取りに来てくれ、写真もカメラのメモリーに入っているから、」 分かりました。と言って僕は教室に行こうとした。 「私たちだって人間なんだよ。」 先生は僕の背中にボソッと諦めるかのようにそう言った。 _____________________ 教室について自分の席についた 昨日までの腫れ物に触るかのような目線はなく もう慣れましたと言わんばかりに皆、普通を装っていた。 装っているっと言うのは皮肉でも比喩でもない。 もうこのクラスには一般的な普通というのは無いのだ。 皆、 見たくないものを見ないように。 視界に入らないように。 そのことを口に出さないように。 目立たないように。 声を大きくしないように。 普通を装うためだけに。 友達何人かで集まって他愛のない話をしてしている。 忘れようと考えないようにと 自分たちは関係ないと訴えかけるように 普通に過ごそうとすればするほど、 醜く歪んだ このクラスの普通が出来上がっていた。 授業が終わり 休み時間に入るなり『被害者』は何人かの男子に連れて行かれた。 それを見計ったかのように一人の男子が僕に喋りかけてきた。 「君はどうして、彼にやり返したりしないんだい? 僕は、いや僕たちは正直、いい君味だと思ってる。彼さえ、いなければ僕たちの高校生活はこんなんじゃなかったと思うんだ。」 「急に話しかけて来たと思ったら、何が言いたいの? 僕はこれから用事があるから行きたいんだけど。」 「き、君は、なんでそんなに平然としてるんだ。 憎くないのか?、僕たちは怖くて怖くて仕方なかった そして本当に憎かった。」 いつのまにか教室は鎮まり、 皆んな僕を見ていた。 今喋ってる男子がみんなのことを代弁していってるかのような そんな態度だった。 「お前たちいい加減にしろよ。 『被害者』が僕を……嫌 …… "俺“達をイジメたんじゃないだろ!! 『被害者』とお前たち、このクラスの全員がイジメたんだよ。 何被害者面してんだよ。」 「仕方ないだろう、アイツが怖かったんだ、君にしてきたことを今度は自分達が受けることになると思ったら、 本当に恐ろしかった。 従うしかなかったんだよ。 君だって一度こっち側に来たじゃないか。 僕たちのこと言えたことなんてないだろ。」 「俺は、お前たちとは違う!! 俺は自分のことを被害者だなんて思わない、 あの日から ずっと、ずっと加害者で ずっと、ずっと俺は罪と向き合ってる。 目をそらして逃げまわってる、お前たちと一緒にするな。」 「じゃあ目をそらして忘れる以外にどうしろっていうんだ。 アイツが、居なければと思う以外に僕たちはどうしろっていうんだよ。アイツらみたいに暴力に走ればいいのか? 向き合ってるってなんだよ。」 ………………… 「お前は俺に、なぜそんなに平然としてるんだって聞いたな!、 平然としてるわけないだろ。 ずっと、腹ワタが煮えくり返りそうだよ。 このクラスの奴ら全員にな! お前たち、クラスメイトが一人自殺してるんだぞ、 そのことを今の会話の中にすら一言も入れず 全部『被害者』のせいにして忘れる? ふざけたことぬかすのもいい加減にしろ。 忘れて言い訳ないだろ! 怖かったから仕方なかったからで 片付けられる話じゃないだろ、 命だぞ、大切な大切な命だ!」 「わかってるよ!! 分かってるからこそアイツがいなければ、 こんなことにはならなかったと 思う以外に、なす術がないじゃないか。」 「それで今度は『被害者』を虐めて『親友』が自殺した理由を全部『被害者』のせいにして、 それで 今度は『被害者』に、自殺させるのか! そんなこと絶対にさせない そんなこと絶対にさせない!!!、」 そう俺が救う二人の人間 『カメラ女子』ともう一人 そうそれは、 「俺が『被害者』を、! 目を背け、忘れるために暴力を振るい、自らの罪を、擦りつける。お前らから」 「救ってやる!!!」
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