ひかり、あるところ

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他の1年生から遅れること1ヶ月弱。無事にバスケットボール部に入ることが出来た。  バスケが好きだ。  コートに立つと強く思った。またここに立てたことに身震いするくらい嬉しい。  ……強く、なりたかった。 「お、背はおんなじくらい?」  そう言って来た工藤先輩は拍子抜けするくらい気さくな人だった。なんて言うか、モテそうな人だ。 中学までの部活では何しても陰口を叩かれた。そのイメージとは全く違っていた。メンタルが安定してるんだと思う。工藤先輩は優しいけど、弱くはない。 自分でわかってる。俺はメンタルが外に出る。もっと強くなりたい。  もう居場所を失くしたくはなかった。 「もっと、生意気なのかと思った」工藤先輩が笑ってそう言う。 「……目付き悪いんで、すいません」 「もっと、コミュニケーションだって。聞く! 何でも」 「F大行くって本当ですか?」 「えっ、プレーじゃなくて、そっち?」  工藤さんは笑ったけど、快く教えてくれた。 「俺、あんまり賢くないんだよ。だからスポーツ推薦狙わないと。いや、入ってからの事も考えても、スポ推でいきたい。マジ単位に不安しかない。1年の時からF大行きたいって意識してたよ。幸い先輩いるからルートは無くは、無い。あと、F大のコーチ見に来た時、やたら調子上がるんだよ、俺は、本番に強いタイプ?」
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