高校というところ

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クラス全体が何も無かったかのように日々を過ごしながら、見たことのないクラスメイトをほんの少し気にしていた。 どんな、人なのかなぁって。いつか、来るんじゃないかなぁって。 日が経てば経つほど、彼が登校する可能性が低くなってくる気がする、というか、そうなのだと思う。 空席をいつも見る事になる、後ろの席の私にとったら尚更そう思うのだった。新しい友人との距離をはかりながら、いつもより少しトーンを上げた声が遠くで聞こえる。そんな手探りの4月の空気が、今ならまだ遅くはない気にさせる。 「槇野くん、明日は来るといいな」  気づけばぽつり、溢していたらしい。由紀恵と梨花子の少し驚いた顔に「あ」と口を抑えた。そう思う事自体はおかしくはない。だけど、唐突だった。 「さては……期待してる? 槇野がもしかしたら格好いい人なんじゃないかって」  梨花子がからかってくるのを、まーた由紀恵が、ケラケラ笑う。 「槇野くん、確かにイケメンさんだよ」 「え? 知ってるの?」私と梨花子は同時に由紀恵の顔を見た。 「うん、入学式は来てたよ。式だけ。早退したんだなあって思ってたけど、あれから来ないね。すらーってしてて、しゅっとして、イケメンだった」  由紀恵は手を高く上げて、目尻をきゅっと持ち上げて、大袈裟な身振りで槇野くんを表現してくれた。
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