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俺の文章には かなりの誤字があったらしく、誤字の妖精は せっせと修正してくれた。
それで出来上がったのが、この作品『5時の妖精』っていうわけなんだけど――
随分後になってから気が付いたことがあるんだ。
それは、誤字がまだいくつか残っていたってこと。俺の間違いがあんまり多かったものだから、彼女も見落としてしまったんだろう。
ところで、ここまで俺の話に付き合ってくれた――読者の貴方は、気が付いていたかい?
え? タイトルからして既に「誤字」なんじゃないかって?
ああ、そこはまあ、なんだかんだで彼女も「5時」を気に入っちゃったみたいでさ。そのままにしておこうってことになったんだ。
あ、あと「5分」もツボに嵌った言葉らしい。
去り際に彼女は
「またいつかね。次に会う時は――5時5分がいいかしらね」
なんて微笑んでいたからさ。
おしまい
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