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――やばっ、言い過ぎちゃったかな……
少し後悔していると、今度は彼女、顔を上げてキッと睨んできた。ちょっと涙目になっている。
「そんなふうに からかわれるのが一番嫌なのよ。たしかに私は ごじの妖精だけど、時間の5時じゃなくて、間違った文字――誤字を直す仕事をしているんだからねっ!」
―― へ?
瞬間、俺はフリーズした。
あの、まさかとは思いますが―― 今、何と おっしゃいました……?
俺だって もう中学生だし、「誤字」って言葉を知らないわけじゃない。だけど、あの時は「5時までに帰らなきゃ」ってことで頭がいっぱいだったし、従兄から時計の妖精の話は聞いていたし。
いや、それより何より、彼女本人が5時の妖精だって認めたんじゃなかったっけ……??
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