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にじの妖精 2
2時を告げるのが私の仕事。ボンボン時計の中に住んでるの。
斜め上には1時の妖精、斜め下には3時の妖精がいてね。
1時くんは、お昼休みの終わりを告げる大事な役目を担ってる。3時ちゃんは、おやつの時間を告げて、みんなを喜ばせるの。
私が2時を知らせても、周りの反応は薄い。「ふーん」とか「あっ、そう」って感じなの。
気付いてさえもらえなくて、「あれ? もう2時過ぎてたんだ」って言われるのも しょっちゅう。
その度、私なんて必要ないんじゃないかと悲しくなる。
そして今日、とうとう追い出されてしまったの。省エネ対策とかで、2時の鐘は鳴らさないことになったから。
人間の世界でいう、「リストラ」って やつね。
私は行く当てもなく、雨上がりの ぬかるんだ道をトボトボ歩く。
え? 妖精なんだから空を飛ぶとかしないのかって?
もうね、そんな気力は残ってないの。
それに空には憧れの「にじ」さんの姿が……
眩しすぎて、羨ましすぎて、今の私には直視できそうにないわ。
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