にじの妖精 3

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にじの妖精 3

「君を必要としてる人は、きっといるよ!」  そう励ましてくれたのは、私と同じくリストラされた11時の妖精。  彼は私以上に損な役回りだった。  十一回もの鐘を せっせと鳴らした挙句、 「なんだよ、まだ11時か。紛らわしいな!」なんて怒られたりする。  それは、お昼休みの12時を待ちわびる声だったり、午前中の仕事が終わらないのに もう12時が来てしまったのかとの焦りの声だったりするみたい。  冷静に考えてみると。なんて理不尽なのかしらって思っちゃう。  11時の彼は、自身に与えられた仕事をきっちりこなしているだけだというのに。  それでも彼は、どこまでも前向きで。 「俺は新天地を目指すぜっ! へ~い、イレーブンブン♪ 素敵な未来が待って~いる~♪♪」  なぁんて歌まで口ずさみながら、颯爽と飛んでったの。
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