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夕日が殆ど沈み薄暗くなり始めた道を歩きながら、スマホを覗くが美由からの返信がない。
「はぁぁ」
ため息をつくと後ろから「勇馬君?」と声が聞こえ、振り向いた。
「···佐久間。今帰り?」
「····うん。本読んでたらこんな時間になってて····。勇馬君は部活終わり?」
「あぁ」
「····そういえば聞いたよ。次の県大会の選抜に選ばれたんだって?まだ一年生なのに凄いね」
「ありがとう」
佐久間と二人になるのは初めてだった。美由や風間と一緒に居るイメージでしかない。
スッと通った鼻筋に切れ長の目。そしてモデルのようなスタイルが特徴的な佐久間はクラスの男子から人気だ。
「····美由ちゃんのこと考えてたの?」
佐久間の琥珀色の瞳には俺の姿が写り込み、ゾッとする。俺は佐久間が苦手だ。
「·····ま··まぁな」
その瞳から逃げるように視線を反らした。
「····そっか。心配だよね」
その言葉の後、暫く沈黙に包まれながら歩く。
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