「雪女」の物語的破綻性に関する考察

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 ある寒い冬の日、老人と若者の、ふたりの木こりが、山のなかで吹雪に見まわれました。  ふたりは、近くの小屋に避難して、休みました。  そこへ雪女が入ってきて、寝ている老人の顔に冷たい息を吹きかけました。  老人は凍死してしまいました。  雪女は、続いて若者のそばにもやってきましたが、 「お前は若くてイケメンだから助けてやる」  と言い、今日のことを決して口外しないように、口止めします。  それからしばらくして、若者の家に、おゆきという若い女性がやってきて、若者と夫婦になりました。  子供が何人か産まれましたが、おゆきは少しも歳をとりません。  ある夜、若者はおゆきの顔を見ていて、雪女のことを思い出します。  若者は、昔雪女に出会ったことを、うっかりしゃべってしまいました。  するとおゆきの様子が一変します。 「実はわたしがその雪女なのよ。あのとき口止めしたのに、よくもしゃべったわね」  と言って、若者を殺そうとします。  でも、子供たちのことを思うと、殺せません。 「この子たちをちゃんと育てないと、今度こそ殺すからね」  そう言って、おゆきは去っていったのでした。
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