「雪女」の物語的破綻性に関する考察

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「……と、こんな感じでいいですか?」  田中の話が終わり、森脇は少し苦笑いしながらうなずいた。 「うんうん、イケメン、とか、少しばかりセリフに難があるけど、まあいい感じだ」  森脇のことばに、一同がクスリと笑った。 「すみません」 「いやいや、ぜんぜんいいよ」  顔を赤らめる田中に、森脇が手をふる。 「さてと、この話に、ぼくはいくつかの疑問を持ったんだ。まずは項目を列挙しよう」  森脇は、部屋の隅に置いてあったキャスター付きのホワイトボードを持ってくると、さらさらと疑問点を列挙した。 ① 雪女はなぜ人を殺しに来たのか? (殺害の動機) ② なぜ若者を殺さなかったのか? ③ なぜ口止めしたのか? ④ なぜ雪女は若者と結婚したのか? ⑤ 口止めしたにもかかわらずしゃべった若者を、なぜ殺さなかったのか? 「とまあ、この五つかな」 「なんだそれ?」  と、つっこんだのは藤波だった。「雪女なんて、たかだか昔話なんだから、理屈もなにもないんじゃないかい?」 「うん、まあ、そう言ってしまうとミもフタもないんだけど……とりあえず話題にしてみたいんだけど、反対?」
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