「雪女」の物語的破綻性に関する考察

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「いや……別にダメとまでは言わないよ、こんなときだし」 「ほかの人はどう? 木原は?」 「うん……まあ、別に……」  木原と呼ばれたのは、同じサークルの二年生。やせっぽちで、眼鏡をかけて、気の弱い、いわゆる青白いブンガク青年だ。 「あとは、そう、きみ、えーと……?」  森脇が、紅一点を指さして、首をひねった。 「由紀です。渡辺由紀。森脇先輩、いつになったら覚えていただけるんでしょうか?」  渡辺由紀と名のった少女は、ちょっぴりすねたように口をとがらせた。 「あー、ごめんごめん。そう、由紀ちゃんだった。どーも女の子の名前は覚えられなくて。うん、由紀ちゃん、とってもかわいいよ」 「なんですかそれ? とってつけたみたいに」 「いやホント、うん、かわいいから」 「ハイハイ」  そんなふうに応えつつ、由紀はまんざらでもなさそうだった。 「で、由紀ちゃんは、この話題はどう? 続けてもいい?」 「ええ、どうぞ」 「あと、田中くんは、もちろんいいわけだから」 「ええっ、ぼくだけ、初めからOKありきですか? まー、いいですけど」
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