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ダンジョンを探し歩いてたら妙な声が聞こえたからそっちを見にいけば…
(え…何コレ。どうゆう状況?)
魔華の集団に蔓が足から体へとグルグルと巻き身動きできなくされて獲物の奪いあいとなっていた。
どの花の中心の口のような部分をガバリと開けていつでも食べられるように待機している。
捕食されかかっている人間の男が
「観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時。照見五蘊 皆空。度一切苦厄…」
とアンデッドが嫌う歌のようなものを一心不乱に泣きながら唱えているようだが声がときどきひっくり返っている。
(いや、魔華には効果ないんじゃねぇ?あッ、また新しい蔓が増えた…)
男に夢中の魔華たちに右手を前に突き出して『焼き尽くせ!』と念じてみれば
ちょ、見ました?火がでたよ!すごくないッ?!
死神でも魔法が使えたよ!
いや、だって擬態で魔法を使った死神なんて俺がはじめてでしょッ!!
とか魔法に感動していたら焼けた魔華の炭の残骸からゲホゲホ言いながら這い出した捕食されかけてた男が泣きはらした目と青ざめた顔で少年に見える俺の前までくると正座して両手を合わせてペコペコ頭を下げて拝まれ、そのまま俺についてきているのだが…
「ふう゛ぁあ゛、あ゛、あ゛あ゛あああああ――!!!」
と背後からよく叫び声があがりマス。
なぜならこの男が魔華ホイホイであったから。
先を歩いてる俺は無事なのに何故コイツは魔華の蔓に何度も絡まれるのか誰か教えてくれないか?
火の魔法で焼き払いながら魔華に好かれるこの男を俺は囮にしてどんどん駆除をしてたどりついた禍々しい黒い扉を迷わず開けて俺を迎えたのは
ネクロマンサー【死霊や死者を使った魔術を行う術師】のじーさんことダンジョン主が目を丸くして見つめ返してきたのだった。
* * *
ああ、これはどうゆうことなのでしょう?
私を襲ってくる植物たちからいくども助けてくれた少年はこの老人の孫なのでしょうか…
互いに励ますように肩をたたきあい苦労話
(死者がいなくなって両者ともに仕事を失った、というような内容がきこえたのですがどうゆう意味なのでしょうね?)
を熱くかたること5時間はすぎたのではないのでしょうか…
修行僧たる私の師匠より話が長いのですが。
私めのことはお忘れですか、、そうですか…
ハッ!これは私めの鍛練なのですね。無の境地を極めてみせよという試練なのですね?
妙な光に導かれ目が覚めたらこの洞窟のような場所に捨て置かれ、出口を探して歩けば巨大な植物たちに食べられかけ
私めの修行の道は険しきことですね。
前世の業が深すぎたのでしょうか…
「おい、起きろ。」
と少年の高めの声がきこえ、どうやら寝てしまったようです。
目を開ければ洞窟の外でありました。
(どうやって私めを運びだしていただいたのでしょう…まったく気づきませんでした。)
ちょうど夜明けのタイミングのようでそれは見事な朝日でございましたが、やはりと申し上げましょうか残念ながら私がいた世界のものとは異なるようでございます。
少年は老人についてくように私に告げて去っていってしまいました。
縁があればまたお会いすることでしょう。
私の修行はまだまだ長く続きそうであるのでございますから。
了
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