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若いやつの脚は速い。
安住は警察署を出てしばらく行ったところで星刑事を見失ってしまった。
街灯はあってもその先は真っ暗で見えない。
「まったく、どこ行きやがったんだ」
スマートフォンを取り出し星を呼び出す。
すると同時に建物の屋上から気が抜けた音楽が聞こえ、建物脇の茂みに落ちた。
茂みからはまだ音が鳴っている。
スマートフォンの呼び出し音が鳴り続け、星は一向に応答しない。
安住が発信をキャンセルすると、茂みの音楽も止まった。
もう一度発信してみる。音楽が再び流れてきた。
まさか。
茂みを漁るとスマートフォンが見つかった。星のスマートフォンだ。
安住は屋上を見上げた。
屋上から落としたのか?
安住はその建物の屋上に急いだ。
屋上へ出る扉を開けると、暗闇の中で二つの影が揉み合っていた。
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