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「動くな」
安住が制止するが二つの影は動きを止めない。
一方の影がもう一方を落下防止用の柵に打ち付ける。
打ち付けられた影はヨロヨロと柵に寄り掛かる。
もう一方がチャンスとばかりに柵に寄りかかった影を持ち上げて、柵の向こうに投げ落とそうとしている。
安住は投げようとしている影に勢いよく突っ込んでいく。体当たりだ。
影は柵にしたたかに打ち付けられ、持ち上げていた影は柵の内側に落ちた。
安住は突進した影を確保しようと抑え込んだ。
その時、薄っすらと影の顔が見えた。
星刑事だ。
「お前、何してんだ」
「あっちが犯人ですよ」
星に犯人と言われた男は、先程柵にぶつけられた影響が残っているのか、まだフラフラしていた。
安住はフラフラしている三十くらいの男に近づき軽く肩を極めて逃さないように押さえ込むと「警察だ」とだけ短く言った。
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