ホシ・フル・ヨル

安住には訳が分からなかった。
”犯人”と思った男の言動からは怪しさもこの人間が屋上から人を突き落とすような人間という雰囲気も全く感じられない。
刑事の勘ってやつだ。
それどころか星がこの男を落とそうとしていたのに違和感を覚えていた。
スマートフォンに電話をかけた時まだスマートフォンは屋上にあったはずだ。
着信した後でもみ合って建物から落としたというのは偶然が重なりすぎている。
「おい、あんたの名前は？」
安住が”犯人”に名前を尋ねた。
「イトウショウゴです。イトウはイトウヒロブミの伊藤、ショウは空に光る星、ゴは吾輩は猫であるの吾です。」