地下の王国

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*  夜の色は灰黒の色。光を灯さない、おじさん本来の体の色。それがぼくの知る夜だ。  けれど今、岩の天井が崩れ去って目の前に広がるのは――。 「……痛いよ」  まぶしくて、痛い。ぼくの知っている夜の色じゃない。  いつもそこにあったはずの岩の天井には大穴が開いていた。最後に何の力を使ったのか、瓦礫のほとんどはおじさんの体に落ちていた。ぶ厚い岩盤が崩れ、そこから外の世界が見える。  ――見上げた天は黒にも見紛うほどの深く濃い紺青。その途方もなく高く遠い空に眩暈さえ覚える。  そこに灯る光が、きらめき瞬いてひどく目に痛い。心に降って突き刺さる。 「星……」  おじさんの言っていたのはこれのことだろうか、と崩れ去った瓦礫の――おじさんの残骸の中で立ち尽くす。  数えきれないほどの星の光。  この身を穿つほどの無数の光の粒が降り注ぎ、世界とぼくとを照らし出していた。
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