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坂道をのんびり下り、通っていた幼稚園を怪しまれない程度に眺め、またゆっくりと歩く。
途中、たいして思い出もないであろう何でもない郵便局を菜々は嬉しそうに眺めていた。
「この景色の感じ懐かしいな」と言っていた。
そうして、また二人でぶらぶらと歩く。
「はる子、幼稚園の子みたいに手繋ごうよ」
わたしは同性とはいえ、少し恥ずかしかったのだけれど、菜々は何でもない顔で言ってのけていた。
なんとなく大人の余裕を見せつけられているようで、わたしは「何だこいつ」と思った。
少しだけ悔しかったので、同じように照れも何もない普通の表情を装って、そのほっそりとした手に触れてみたのだった。柔い。
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