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しばらく歩いたところで「ちょっと座りたい」と菜々が言い出した。
少し体調が悪そうに見えたのでヒヤヒヤしたが、すぐそこはもう公園だった。
ちょうど草を刈ったところなのか、雑草の背が小さく歩きやすい。梅雨になる前に、草刈りをしたかったのかもしれない。
わたしはぽつんぽつんと、等間隔に並ぶベンチの一つに菜々を座らせた。
菜々は少し辛い表情をしていた。
「ちょっと生理中で…… 薬は飲んでるんだけどなあ」
そう言って菜々は通学鞄から水筒を取り出し、蓋をコップのようにして、コポコポとお茶を注いだ。
お茶は温かそうに見えた。
それを飲み、ふう、と一息ついている菜々をぼんやりと眺める。
空気が澄んできた。もうそろそろ夕方だった。
「はる子もお茶飲む?」
自分の分をゆっくりと飲み終えてから、菜々はもう一度、水筒を傾ける。
コポコポとコップの半分にお茶が満たされた。
「喉が乾いた」とも、わたしは何も言っていなかったけれど、すでに注がれているので、わたしはお礼だけ言ってコップを受け取った。
温かい麦茶だった。
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