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ループ重力量子論と量子脳による垂直離着陸
ループ重力量子論と量子脳による垂直離着陸
長大な滑走路を必要としない垂直離着陸は、狭い甲板上や市街戦などにおいて航空機を拠点的に運用できる利点がある。
反面、機体の浮揚に膨大な燃料を消費したり、本来ならば得られるべき揚力を推力で補わねばならないためエンジン構造の複雑化を招くなど問題点が多かった。
また、推力偏向のための機構そのものがデッドウェイトとなり兼ねない。
仮にそういった仕組みを採用するのならばSVTOL性能よりも飛行時の運動性を追求したいという思惑もあり、固定翼機で垂直離着陸を実現した機種は少数にとどまった。
結果として、このようなニッチは長きにわたって回転翼機が埋めてきた。
攻撃ヘリは機動性や調達維持コストの面に優位性があるが、武器搭載量が固定翼機に劣り、超音速性能を持たないなど制約も多く、あくまで補助的な航空支援という位置づけであった。
現場の声は固定翼機へ回帰したが、実現するためには戦闘純文学者の登場を待たねばならなかった。
次項では量子脳による垂直離着陸制御を説明する。
■ 意思による重力制御
重力を制御するためには、自然界に存在する他三種類の力(弱い結合力、強い結合力、電磁気力)と同質の物理学━━いわゆる、統一理論が必要である。
後者の統一は標準模型を用いることで完成したが、それらを前者と統一するのは困難を極めた。
重力と電磁気学を統一する試みは古くからなされてきた。まず、カルツァとクラインが四次元時空を五次元に拡張した高次空間モデルを導入して統一場の説明を試みた。
以降、超弦理論、ブレーン理論など宇宙の次元を拡張する理論が次々と生まれた。また、高次空間に依存しない統一論も色々と提唱された。
その中でもループ量子重力理論((LQG)は後述する量子脳理論と結びついて意思による重力制御を実現させるに至った。
LQGは時間と空間に不可分な最小単位があるとする理論で重力の古典理論である一般相対論を量子化したものである。
同理論において、空間は点と線からなるネットワークで表わされ、これらのつながりの変化が重力などの力の媒介、電子などの素粒子の存在を示していると考えられている。
ネットワークは刻々と離散的に変化しており、これがプランク秒という時間の変化として感じられる。
量子脳理論とは大脳の生化学的なふるまいや意識の発生に系自体がもつ量子力学的な性質が深く関わっているとする思想の総称である。
生きている人間の脳は直径二十センチ前後、温度は摂氏三十七度であり、極低温化で発生するボース・アインシュタイン凝縮物質が示すのと同様な量子効果を期待するのは無理があると当初は思われた。
しかし、室温超伝導物質が発見されて理論上は摂氏三千度までは超伝導性が担保されることがわかった。
量子脳理論に共通するのは意識の基本構成単位としての属性(ドイッチュが主張する唯心(モナド)論)が素粒子各々に付随すると考えられ、波動関数の収縮においてモナドも同期して、高度な意識が発生するとされる。
このように意識は必ず物質的な側面を持つ。ド・ブロイは物質の振る舞いを波動性と粒子性の両面から説明できる物質波の概念を採用した。
常にゆれ動き、個々の独立した自我を持ちつつも、虫の知らせなどユング心理学でいう共時性を発揮する意識はまさに量子力学的な「精神波」といえる。
実際、意識はおかれている状況を大局的に一瞬で察するところから量子力学が関与することは疑いの余地もない。
結論として、波動関数の収縮には人間の意思決定が関わっている。
スチュワート・ハメロフとロジャー・ペンローズによって脳神経細胞内の微小管に量子摂動が発見された。
ペンローズの客観収縮理論によれば、これらの摂動はシナプス信号や微小管に蓄積された記憶によって統合して波動関数を収縮させる。
微小管内の量子摂動は互いに干渉しあって、ゆっくりとした脳波に変調されること臨床試験を通してわかった。
逆に言えば、記憶訓練と脳波の制御を適切に行えば意思決定による重力制御が可能である。
具体的には経頭蓋超音波を用いて神経シナプスを刺激する。
メイドサーバントにおいては、頭髪遺伝子がオミットされており、かわりにライブシップと交信するための量子通信アンテナが植毛してある。
浮揚の術式を展開する戦闘純文学者
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推力偏向の術式支援を受ける
アタックスーパートムキャット21
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真上から見たところ
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