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そんな声とともに、突然、おれたちの足元に巨大な光る聖印が現われた。
それこそ、この荒れ地を覆い尽くす、途方もない広さを誇る紋章。
これは、パビアの地下水道で見た聖印だ。
途端に怨霊ネイガーたちが張りかけた青い障壁は、ばちんと四散した。
おれの肩からすっと手が離れ、知った声音が澄んだ言葉を淡々と投げかける。
「ねえ、純愛の法王と智の女法王だったっけ? とうの昔に死んでるくせに、屍霊術(ネクロクラフト)に手を染めてまで、ずいぶん永いこと地上に執着してくれたじゃない。しかも数えきれないほどの魂まで巻き添えにして。内陣首座(プライメット・インナー)さまが、この件をあたしに託した理由がよく分かったよ」
ふふっ、と小さな笑いを挟んで、言葉は淡々と続く。
「でも生と死の摂理に背いた所業は、この辺で終わりにした方がいいんじゃないかなあ。因業(カルマ)が返し切れなくなるほど、積み上がる前に。もう充分危ないとは思うけど」
「し、然し、此処で我らが去らば、人(ホムス)の世の理は……」
けれど怨霊ネイガーの狼狽(うろた)えきった訴えは、途中で甘い笑いに冷たく打ち消された。
「そんなコト、残ったひとが考えるでしょ。自分の御用は自分で決めるんだから。キミたちも、もう自分の御用は充分堪能したよね? だから、あたしたちが輪廻の環の中へ還してあげる。ユーデット聖廟騎士団内陣首座さまの命に従い、ひいひいひい……おばあさまの名において、今こそ、最後の幕引きを」
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