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足の下に広がる聖印が、猛然と回り始めた。
歌うような不思議な詠唱が流れ、不思議な感傷が何故かおれの胸にしくしくと沁みてくる。
……この祭文も、地下水道で聞いてる。
確か“輪廻回帰の秘儀”だったっけ……。
この荒れ地に、淡い光が天から降り注ぐ。
ミルク色の曙光に包まれて、横たわる無数の人影から光の球が漂い出てきた。
おれはすぐに理解した。
あれは、このパビアで死んだひとたちの魂だ。
街の崩壊に巻き込まれた住人と巡礼者、それに“葡萄酒の間”や大噴水の下で殺されてきた大勢の犠牲者……。
色鮮やかな赤や青や緑の鬼火(ウィル・オー・ザ・ウィスプ)の蛍のような乱舞の只中で、カレ兄たちに捕らえられた二体の怨霊も、びくんびくんとけいれんしながら、詰まったような唸り声をあげて、黄色い光の塊へと姿を変えていく。
――ぐおおおおぅぅ――
けれど野獣よりも野蛮に泣き叫ぶ法王ネイガーと女法王の怨霊は、ぐねぐねと身をよじらせて輪廻回帰の祭文に激しく抵抗している。
たぶんきっと、おれたちの理解を遥かに超えた、途方もなく強くて凄絶な執着と未練に囚われているんだろう。
そんな黄色い怨霊の周りをふらふら漂う、弱弱しく赤い鬼火は、たぶんきっと侍従ネイガーだ……。
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