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パッと手を放し、慌てて辺りを見回したおれたちに、女給姿のラウヒェンが荒れ地の一隅を指差した。
示した先を目で追うと、白んだ空気の中に座り込む男の背中と、その前に横たわる影が見える。
おれとルミ、それにカレ兄とシルク姉さんも、急いで二つの人影に駆け寄った。
「マリ姉!!」
マリ姉は、地面にあお向けていた。
砂にまみれた顔は蒼く、目は静かに閉じられている。
胸には、まだネイガーのザグナルが刺さったままだ。
結界が消し飛んだ衝撃でも抜けないなんて、よほどしっかりと胸甲に食い込んでいるんだろう。
そんなマリ姉の前に座り込み、うなだれたクロウ兄。
力を失った両肩も、無理やりに引き結んだ口元も、震えて見えるのは気のせいじゃない。
カレ兄が、クロウ兄の横に静かに片膝を着いた。
「マリッサは……」
口にしかけたカレ兄の言葉が、クロウ兄の怒声に打ち消された。
「やめろ! それ以上言うな! 言っちまったら、本当に……」
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