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俺はちょっぴり胸を張る。
「この前、俺が十八になった日に、ぼんとクロウ兄と俺と三人で羊脂玉の盃を交わして、義兄弟になったんだ。ぼんの国の風習らしいけどね。その時に許しと勧めがあって……」
「話が一気に進んだ訳か」
カレ兄がおどけたように肩をすくめた。
「確かに、そろそろ頃合いだろう。さて、マリッサたちの方は、どうするつもりやら。三十路にはまだまだ猶予があるが……」
憂鬱な吐息を一つ容れたカレ兄に、俺は冷やかすような問いを投げてみる。
「で、カレ兄たちはどうするつもりなのさ? カレ兄とシルク姉さんは」
「そ、それは」
虚を衝かれたのか、カレ兄がぐっと仰け反った。
つい泳いだその視線の先のシルク姉さんも、顔を真っ赤にしてうつむいている。
けれどすぐに向き直ったカレ兄は、うつむきがちながら、ハッキリと答えを綴る。
「あと三年だ。その頃には、生存者たちも完全に落ち着くだろう。そこで仮初の祠堂を畳むつもりだ。俺もアマトリアの加護を手放し、性愛の神の禁忌からも解かれたその時に……」
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