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おれの見ている前で、じいさんは背中のカゴから銀色のトングを取り出した。
そのまま足元に目を落としたじいさんが、ちょこまかと歩き回りながら、広場に散らばるゴミを拾い始めた。
そう、このテオじいさんは、パビアに集まる巡礼者のガイドと、広場のゴミ拾いを日課に暮らしている。
ぱっとノートを閉じたルミが、ててっとテオじいさんに駆け寄った。
そうしてにっこりと、テオじいさんに笑いかける。
……これもまたいつものことだ。
「おじいちゃん、手伝いますね」
「おお、ルミ坊かい。いつもありがとうな」
テオじいさんはルミの頭をなでなでして、広場のゴミ拾いに戻った。
ルミも手づかみで広場のゴミを拾っては、テオじいさんの背中のカゴに投げ入れる。
テオじいさんの手伝い、つまり広場のゴミ拾いは、ルミにとっても毎日の日課のようなものらしい。
夕方、寺院のお勤めがない時は、あいつはいつもテオじいさんとゴミを拾ってる。
これも修行、なんだそうだ。
それにしても、ゴミ拾いのルミはいつも楽しそうだ。
おれも手伝おうか……。
って、広場の人たちがみんな見てる。
う、やっぱ恥ずかしい……。
拾おうかやめようか、どうしようか……。
つい立ったり座ったりのおれ。
と、唐突に凛とした高い声が響いた。
「挙動不審ですよ、クロ」
「わあ!」
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