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第4話「銀世界(前編)」
~港町ゲフェイオン~
この街は古くから漁師町であった。という設定
神々が愛した街。という設定
箇条書きでいってしまうと楽しみがないなぁ。
なにせ、北の王都と別名されるほどの美しい景観、歴史的な建造物が軒並みひしめき合うほどの作りこみ、この街のグラフィックは王都アーモロトは違った海と調和されたデザインである。
定期船でケブネカイゼに行けることは勿論、北海に生息するクラーケンやシーサーペントなど、如何にもユーザーが好きそうな神話の魔物を設定し、定番のようなつまらなさを微塵も感じさせないギルドクエストやPTクエストも豊富だ。イーリアスはこの前、大型UPデートをし、ドラゴン所有者のごく一部のみ空中からの攻撃を有効にすることに成功した。
今まではガレオン船を持ち出して、大砲をドッカンドッカンやったり、銛でつっついたりとその様は原始的にも見える。しかし、これにドラゴンが加わるとなると別である。
所有が認められている数少ないプレイヤーはドヤ顔でドラゴンに跨り、英雄気取りだ。
かくいう俺もほしい!!!!!!!
イーリアスの世界ではいくつか存在する。複数名を載せれる運搬用のドラゴン、先ほど説明したライダードラゴン、そして、伝説の大型ドラゴン。
伝説の大型ドラゴンは幾多のクエストの完了と人数をもってして、尚且つ半年に一回だけ現れる月と太陽が重なる“皆既日食”による闇と光の門が表れてリアルタイム30分だけ出現し、討伐するというものすごいレアな状況に出現するという条件が定説らしいけど、海外ではソロでゲットしたことがあるという噂がある。
ソースが英語で調べた勇士がいたが、どれも信ぴょう性にかける話ばかりだったという。その勇士もすでに引退しており、情報元も絶たれており、言い伝えが残ってるという始末だ。ゲーム上での伝説というのは都市伝説みたいで実に興味深いものだ。どのゲームにも一つや二つあるものだしな。こういうのは、立ち会った時のプレイヤーは武者震いだ。
さて、宿は街の中心から少し離れた川沿いの赤い屋根の建物だ。今夜は白夜であるので、夕方なのか朝方なのかわからないような天気である。とはいえ、定期船まで休むとしてまずは腹ごしらえだ。宿屋にはうまい飯がある。本来は現場ついてから色々と食べた方がいいのだが、そんなキャンプする気分ではないので、先に食事を済ませておこう。
俺らは荷物を倉庫に預けた後、宿屋に併設されている酒場によることにした。
ここの海鮮丼はリアルでコラボした料理で絶品だ。一時期SNSで画像が溢れてた時があり、ゲームをやっていない女子達にも波及効果があったくらいだ。ゲーム上だがヨダレモノの味を思い出しつつ、「飯テロ」を発生させてしまったが、飯を食っている最中にユーグが口を開く。
「マスター、定期船乗ったら狩場まですぐですか?」
「いや少し歩く。その最中に各種エリクサーを飲みまわして戦闘態勢状態で移動をする。」
俺はここで作戦内容をつたえる。
「ゴブリンといっても寒冷地仕様のゴブリンだから多少防御力が高い。俺は刀と弓、薙刀を要してコンボを繰り出すけど、それでもディアナの弓で遠くで湧いてくる敵を倒してほしい。ソロモンは補助魔法を回して、グラビティヘイズも併用してくれ。あーあと、炎の魔法も出せる時に出してくれ。」
「俺は?」ユーグが目を輝かせていう。
「未知数だからなぁ。まずは俺とディアナ達の中間で俺が孤立しないようにライン維持をしてくれ。」
「あいよ!頑張るで!!」
モジモジしながら、クリスがいう。
「わ、わたしはどうすればいいですか?」
「ユーグの背中を頼む。こいつは突っ込む癖がある。うまく防御魔法を維持してくれ。あと俺にもかけてくれよなw」
俺はまだギルメンでもないプレイヤーにさも仲間のように指示を出していた。いいのか、俺。少し上から指示を出してないか?と自問自答していたが、ディアナがふと怖い顔をしていう。
「今日もし、オーガの亜種が現れたらどうしますか?」といってきた。
≪オーガ亜種≫普段のオーガより全てパラメータが上で、通常のドロップ率より格段に上だ。名うての冒険者なら“おいしい”と思うのだが、中途の人間が二人もいると倒すのに時間がかかる。また、容赦なくゴブリンも湧いてくるので、厳しい戦線になることとなる。
俺は首をもたげてしまう。亜種のパターンまでは考えていなかった。
「マスターと自分はオーラ残してオーガ出現の際に使いましょう。そうでなければ、多少厳しい状況になるのは必至。ソロモンの大魔法打つにしても詠唱時間が入りますのでタイミングを合わせましょう。」
「わかった。今回は多少無理をしよう。回復POTは多めに用意してあるだろうからガブ飲みだな。」
みんな同意できたようなので、ほっと胸をなでおろす。
食事が終わった頃に定期船の出航準備の鐘の音が聞こえてきた。俺らは荷物を取りに戻り、港へ向かった。
~ガレオン船~
まさに大航海時代を彷彿させるデザインで煌びやかなデザインだ。ていうか、このイーリアスの世界ってマジ綺麗だな。グラフィックボードが求められるゲームだ。荷物をもって船に乗船すると、他のギルドがいるものなんだが、誰もいない。まぁそれはそれで気楽だからいいんだけどね。
しばらくして、定期船出航の鐘が鳴り響いた。
船はゆっくりと港から離れていき、一路ケブネカイゼの地へ
動きだした船の甲板で気分が高揚する仲間がいる。
「わー船だー!」クリスがぴょんぴょん跳ねて喜ぶ。
「うぉーなんだかワクワクしてきたぞー!」ユーグが一緒になって喜ぶ。
ソロモンが俺に話しかけてくる。
「マスター、今回でどれくらい稼ぐ予定なんだ?」
「一応、30~50Mぐらいを目指している。」
1,000…1K 1,000,000…1M 100,000,000…100M ちなみに、1,000,000,000…1G となる。
単位はゲームよって、G(ゴールド)S(シルバー)などなど
イーリアスの世界は基本的に銀貨【シルバー】の定義を用いている。金貨は別物扱い。
主に運搬されるときには、以下のようになっている。
金塊1G = 100,000シルバー
金塊10G = 1,000,000シルバー
金塊100G = 10,000,000シルバー
金塊1000G = 100,000,000シルバー
金塊にするには、両替商のところに大量の銀貨をもっていき、身軽にするためには、金塊に変換しなければならない。ユーザーの要望では、電子マネー制度を持ち込んでシルバーの重みを失くしてくれという要望をかなりの数が出ている。
時代の潮流をこの世界に持ち込むというのはなんともちぐはぐではあるが、プレイヤーとしてはどこにそんなシルバーをもっているんだというツッコミが出てくるのはご愛敬。では、プレイヤーの稼ぎ方というと、モンスターを倒すと札だったり、認識票や尻尾など、店売り出来る安価なアイテムを落とす。それらを集めて大量に売るということになる。
それらを、シルバー化し両替商に持ち込み金塊に替えるという構図になる。
両替商の手数料はというと、その地方によって税収扱いになり地方を管理するギルドマスターが、高額税収をする管理ギルド(いわゆる王様)は、不満があれば(なくてもだが)ゲームよって引きずり降ろされるというシステムである。ここがおもしろいのである。
割り切って自分たちのギルドでだけ上手い汁を吸うか、適切な倍率の税にするかである。
また、不人気地方はプレイヤーが中々来なくて両替商からの税収が少ないため、来てもらいやすいように税収を下げて両替の手数料を安く済ませるという方法をとっていたりする。
要は税収が高いと他ギルドが一揆を起して国家転覆を図るようなもんだ。ギルドマスターが王になることが出来るというのも栄枯盛衰を物語る過去の世界史で幾多の王家の話に似ていてすごく好きだ。また、“ギルド”という定義にもちなんで、地方を複数のギルドで納めるところもある。今でいうEUとか連邦組織という認識でいいと思う。民主主義もできるというかなり実世界に近い政治制度ができるというのも魅力のひとつである。
さて、ソロモンとの会話に戻ろう。
「ほう、中々いい金額狙っているんだね。」
「それくらいないと、次の支払いの時にもこんな旅に出る。流石にそうなる前に資金を少しでも多めに稼いておきたい。ユーグが上がれば、ケブネカイゼではなく、南の離島にある神々の山脈と言われている活火山の麓で狩りがしたいね?」
「ブリューナクの素材を集めか?ワシも“ソロモンの指輪”がほしいなww」
「ハハハ、ご名答。にしてもソロモンの指輪は南の離島の先にある海沿いの南南東に位置する小高い丘で召喚書を用いて召喚するんだよね?」
「そうなんだよ。ワシも禁忌クエこなしたくてな。召喚書のクエストもまだだけどね」
「まぁあそこもプレイヤーを選ぶクエストだよね?結構きついイメージだわ。」
「まぁマスター、その時は頼んます。」
「俺はブリューナクの素材をとって俺は西にいき、闇の女王への試練の城を攻略したいんがw」
「あーそれなら、そのあと付き合ってくださいな。」
「ああ、ソロモンの指輪は他のクエストよりきついと思うからブリューナクを手にしてからの方がクエの支援が大分楽になると思う!あと洋槍の使用ができるのは神槍のみなんだよな。東の果てにある古代中国ぽいところの偃月刀も使ってみたいよな。あれも神槍扱いなんだってさ、あれ一般扱いだと思って諦めてたよ。また刀は和刀の神器の名を冠する物だとか色々あるらしいぜ?」
「それマジ??あーだったら魔術師の杖とかも神杖あるよなぁ~調べてみるわい!」
『ハハハハハハッ!』
少しだけど、こういうやりとりは気持ちが昂るからこういう話は楽しくて盛り上がる。
ところで、ディアナがずっと船首でケブネカイゼの方をみている。ソロモンと二人で話かけにいくとディアナが少し真面目なことを言い出した。ディアナはエルフ族だ。故郷がケブネカイゼの近くにある村がそうらしい。どうやら、クエスト終了のあとは、そこに立ち寄らせてほしいとのことだった。
さてさて、目的の地
ケブネカイゼの地にようやく到着だ。
~ケブネカイゼ~
前話でも説明した通り、この地方は寒帯地方扱いだけど服装に寒さは関係ないらしい。ビジュアルはそのままというアニメのような設定。しかし、フィールドペナルティが存在し低体温症が発生し体に麻痺が発生する。対処法はごくごく現実的で耐寒コートを着る!wまたは、取引所やホットミルクなど懐炉アイテム購入しいずれかを使用する。また発生した後でも使用は可能。但し、リミット付き。
俺らは懐炉アイテムを使用し氷美林に入っていくこととした。
旅を始めて2日目、ようやく現場についたわけだが、ゴブリンの集落が中々出て来ない。少し焦りが見えている。ふと先行していたPTがいた。そりゃいねーわけだ。ここで狩場争いのPKも出来るが、そんな時間的余裕もないし紳士協定的なものもイーリアスには存在し、先にいる人間に占有権があるのでここは移動をした。しばらくするとようやくお目当ての集落がPOPUPされた。
「よし、いくぞ!」
ここで俺らの仕事が始まった。
数多のゴブリンが出てきた。俺は普段狩りするのと変わらない動きで刀と弓、そして薙刀を駆使し討伐していく。今回のゴブリンを倒した報酬は、腰蓑だ。これを集めて店売りだ。
ドロップアイテムはプレイヤーが近づけは自動的に拾いアイテムBOXに入る。そのためプレイヤーは戦闘に集中できる。
ユーグが前に出た。
「見ててください!マスター!!うぉぉおおおお!!!!!!!!」
剣を地面に突き刺して、地割スキルを使ってゴブリンをなぎ倒す。
「ばっかw俺がそれ掃討すんのめんどくせーんだぞ!!ww」
俺は吹っ飛んでダウンしたゴブリン達にめがけて薙刀を振り回し、大車輪というスキルでLA(ラストアタック)をとっていく。
「ディアナさん、弓お願いします!」ユーグがしゃがんでいう。
「くっ…。おまえが指示するな!」といいつつ、次々と現れたゴブリンの集団にではなく、弦を思いっきり引いた精霊の矢を天に放った。
矢は複数にわかれ、流星群のようにゴブリンの集団に突き刺さる!
「ユーグwおまえの悪い癖だ。あまりスキルを使い過ぎてCTにぶち込んでいるとオーガの時、CT明けてなくて後手に回るぞ」と窘めると、ユーグは胸を張っていった。
「大丈夫です!ソロモンさんがやっちゃってくれます!」
「バーカ、ワシはマスターにクイックタイムとお前にコンセントレーションかけるので手一杯じゃボケェ!」
「あれぇ?そうだったんですか。すいません。」とユーグはしょげる。
「まったく世話のかかるやつだ。」ディアナは大きなため息をつく。
「みなさん、まだ来ますよ!」クリスが盾スキルのライトバックを使って押し返していた。
「クリスすまん、いくわ…」と言い終わる前にクリスはスキルを発動させた。
はぁああああああああ!!!
クリスの槍が光る…。
「ばっ、バk…」
ライトニングスラスト!!!!!!!!!
聖なる光が全てを包み辺り光の一線が進行方向に真っすぐ突き刺さる
ゴブリンの集団が光に包まれて、昇天した。
俺らは目が眩みそうになった。
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