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「もしかして、さっき僕が流れ星にした願い事を聞いて……女神様が来てくれたんですか?」
僕がそう聞くとウルド様はちょっとばつが悪そうに右頬を人差し指で掻いてから答えた。
「う〜ん、まぁ願い事で来たっていうのはそうなんだけれど、あんまりその流れ星とは関係ないカナ?」
「え、そうなんですか? ――流れ星に願い事をすれば女神様が叶えてくれるって話を聞いたんですけれど?」
「流れ星をきっかけにするっていうのはあるかもねー。ただ、私が影響を与えるのは人一人ひとりの判断による分岐だけ。願い事が叶うかどうかは、本来はまた別の話」
そう言ってウルド様はベランダに両肘を突いた。
――それで? と、ウルド様は僕に促す。
「――君は過去を変えたいのかい?」
僕はもう一度、ベランダから夜空を見上げた。
あのかけがえのない星降る夜を思い出す。
あの日がきっと僕の『運命の分岐点』だったのだ。
だから――僕はそっと頷いた。
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