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0時になり俺は16になった。宇宙船の操縦ができる歳だ。だから今夜、兄のお下がりの飛行船に乗って10年振りにあいつに会いに行く。毎日遊んでいた幼なじみ。ある日、遠い星に引っ越してしまった。今夜は星が降るから危ないってみんなに止められたけど、あいつとの約束の日なのだから仕方がない。ゴーグルをして上空へ。夜空は真っ暗だ。でも目標の星がよく見える。予報通り星が降ってきた。船のすぐ脇を通り過ぎていく。地上のみんなは今頃この流星を見てはしゃいでるんだろうな。ふと、見送りに来た母さんの不安げな顔を思い出した。「大丈夫だよ、いっぱい教習通ったし」なんて俺は言ったけど、気がつくと正面に大きな光の球があった。「あぶない!」船を急旋回させる。「大丈夫かよ、オーバー」スピーカーから流れてくるちょっと生意気な声。あいつだ。「お迎えの約束はしてなかったと思ったけど、オーバー」「万が一、お前が操縦できない時のことを考えてな。誕生日が早い分、操縦も俺の方が上手いだろ?オーバー」懐かしい気持ち。早く顔が見たい。「左を見ろ」左に顔を向けると、船が並んで飛んでいた。窓の向こうであいつが笑っていた。
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