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「手を伸ばしたら届きそうでしょ?」
「…うん」
「全部同じじゃないんだよね、光の強さも、名前もあるみたい。私は全然知らないんだけどね」
星めぐりの日。
空に星が鏤められて、宝石のように煌めいてみせる。私と蒼は丘の上に寝転んで、無数の輝きを瞳に映していた。
「珍しい?」
「そうだね。一年に一度って言われてるけど見られない時もあるし。そういえば去年も、一昨年も!だから余計に貴重かも。蒼は珍しくないの?」
「…うん、ずっと近くにあったから」
「へぇ!良いね、毎日見られたら素敵だね」
「じゃあ、あげるよ。すばるが欲しいなら全部あげる」
「…蒼、何かあった?変だよ…」
「だから、忘れて良いなんて言わないで!」
遮られた言葉と同時に蒼の体が私の体に重ねられる。その体は二年前よりずっと大きく、私の力で跳ね除ける事が出来なかった。
悲しいのか、怖いのか。わからない。
深い藍色の瞳が何を映しているのか、わからない。
灰色の瞳からは、気づかぬ内に涙が溢れていた。
「ごめん」
「…ごめんね」
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