星降る夜に かぐや姫

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少年「ねぇねぇ、可愛いネコ型天使くん。 僕、いい事を思いついたんだ。 今夜は新月でしょ?街の明かりを全部消したら、みんなが満天の星空と流れ星を楽しむことができるんじゃないかな? だって、今夜の空はこんなに晴れていて綺麗だし、流星群も近づいているんだよ。」 ネコ型天使「君は、本当によくそんなことが思いつくな。 そんなことしたら街は大混乱。経済も止まってしまうし、何より危険だよ。 満天の星空をこの街で見るのは、無理だよ。部屋の明かりを消して、もうおやすみ。」 少年「僕『星のささやき』が聞きたいんだ。どんな音がするんだろう。 きっと透き通る鈴の音のような響きじゃないかな。 ラジオ消して、レコード止めて、みんなが静かに耳を澄ませば、きっと今でも聴けるはずだよ。」 ネコ型天使「それを言うならゲームと動画配信と、スマホをマナーモードにだろう。明日は学校だろう?僕は先に寝るよ。おやすみなさい。」 少年「いいよ、僕一人で星を眺めるから。星屑までは無理だけど、流れ星が見えたら願い事をするんだ。 ちぇっ、もう寝ちゃったよ。なんの夢を見ているんだろう。 君がやってきた未来の夢かな?その世界が素敵なものになるように、僕らはこれから頑張るからね。」 ネコ型天使「もう、窓開けっぱなしにして。ママに見つかったら大目玉だよ。」 少年「やあ、僕の可愛いネコ型天使くん。雨降る夜に聞こえる、特別な声を受け止めようと思ってね。 ほらこうして耳を澄まして雨に手を差し伸べるだろう。雨粒が手に当たったら、それは失恋した誰かが流した涙のあとなんだ。」 ネコ型天使「誰がそんなこと言ったか知らないけれど、失恋が雨の日のものだけなわけないだろう。 君は意外とロマンチストだな。風邪をひいたら大変だ。今夜はもうおやすみ。」 少年「僕知っているんだ。君にだって僕にだって、いい日ばかりじゃないだろう? でも一人より二人の方がきっと楽しいから。辛い日も一緒だと、乗り越えられるから。今夜はあの子と素敵な恋の夢が、見られますように。」
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