「流星屋」の災難

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 ステラが応えると同時に、ランチャーから次々と流星が打ち出され、突入回廊に吸い込まれていく映像が俺の視界に現れる。48番、よし......49番.......50番、全て成功。 「ふう。これでとりあえず、依頼はクリアされたな」  俺は一つため息をつくと、体の力を抜く。無重量状態では、背もたれに体を預けたりしなくても、ただそれだけで十分リラックス出来る。  俺が今座っている……というかハーネスで縛り付けられているのは、マーティン・ベイカー Mk.14 。かつて戦闘機が有人機だった時代に、パイロットを乗せていた射出座席(イジェクションシート)。ただし安全のため射出装置のロケットは外してあるが。  元々これは海軍(ネイビー)の戦闘機パイロットだった親父のコレクションの一つだったんだが、俺の独立開業祝いにプレゼントしてもらった。自慢の一品だ。必要最小限のクッションの座り心地は、地上ではひどかったらしいが、ゼロGの宇宙では快適そのもので、サポート感もバツグンだ。
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