「流星屋」の災難

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 今回の仕事の依頼人は、日本のとあるIT企業。創立50周年記念パーティーに合わせて、50個の流星で自社のロゴを描いて欲しい、とのことだった。  こちらからはもう地平線の向こうになって見えることはないが、約10分後、札幌を中心とした半径100キロメートル内の地上で、明るく輝く50個の人工流星が10秒間にわたって夜空を彩ることになるだろう。後は再加速して船の軌道に戻ってくるランチャーたちを回収すれば、今回のミッションはフルコンプ、ってことだ。 ---  この、人々を楽しませるために行う人工流星ビジネス――「流星屋(ミーティアマイスター)」は、長い間俺が代表取締役を務める株式会社ミーティオワークスの独擅場(どくせんじょう)だった。今でも最大手なのは間違いない。  しかしこれは確かに誰でも出来るという商売じゃない。俺がこの商売を始めたのは、元々俺が宇宙ゴミ(スペースデブリ)を回収する会社に勤めていたからだ。
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