「流星屋」の災難

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 なので、俺の船で軌道傾斜角を90度変えるとなると、もうそれだけで本体のタンクの燃料を全部使い切ることになる。もちろん増設タンクをフルに積んで全部満タンにすれば360度変えることもできるが……金がかかっちまってしょうがない。しかも今回はプレゼントなんだから完全に無償だ。親父のバースディプレゼント代を親父に請求するわけにもいかない。  まあでもこれが成功すれば史上初だから、それなりに宣伝にもなるだろう。だがどう考えても俺の船の軌道を変えるのは現実的じゃない。そこで、俺は流星ランチャーの軌道を変えることにした。船よりもよっぽど質量が小さいランチャーなら、軌道を変える燃料も少なくていいはずだ。  しかし既存のランチャーは減速して高度を落として流星を発射した後、また元の軌道に戻ってくる機能しかない。軌道変更ができる高機動ランチャーはないものか、と俺はずっと探していたのだが、1年前にようやくそれを作ってくれそうなところを見つけた。株式会社スペースサーカス。小型無人宇宙機メーカー。新興のベンチャーだ。  早速俺はそこのCEOである、カール・アンダーソンという男にヴァーチャル面会を申し入れた。 ---
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