星に約束を

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「今度はあたしの番ね。ランドセルが欲しい!ピンク色の!」 「分かった。来年は用意してるね。可愛いの選んでおくね」 「絶対だよ。約束だよ?」  薬指が伸びてきて、菜珠葉は同じ指を出した。触れると温かくてふにふにしてる。 「指切りげんまん、嘘ついたら優しくしーない」  昔から変わらない彼女達だけの指切りげんまんの歌。でも、指を切りはしなかった。 「おやすみ、なーちゃん」 「おやすみ、りんちゃん」  おやすみの挨拶をすると、小さな薬指が、手が消えていく。子供特有の温かい体温もどんどん消えていく。 「なーちゃん」  呼び掛けられ、菜珠葉は笑顔で凛を見る。 「また、来るからね。ーーーー、ーー」  凛の姿が消え、またいつもの、一つ歳を重ねた菜珠葉一人の部屋があった。 「私もだよ、りんちゃん」  音は聞こえなくても、唇の動きははっきりと菜珠葉に届いたのだった。たった数時間の存在。たった数年生きた存在。それでも菜珠葉唯一の星として一年に一度会いに来てくれる恋人との約束は、また一年、彼女の力となるのだった。
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