刺される五分前

1/1
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ

刺される五分前

「彼女が刺される五分前へ移動します」 え、何? 突然すぎて意味が理解できなかった。 次の瞬間、いきなり町の見慣れた風景が目に飛び込んできた。 あれ、ここって? すると前方から声がした。 「どうしたの?早くしてよ。」 え.........美月? 確かに刺されたはずの俺の彼女が目の前にいた。とたんに涙が溢れてくる。 「あ、泣いてる?」にやにやしながら彼女が近づいてくる。 「美月!!」俺はいきなり美月を抱きしめていた。 「え、光?」すぐさま我に返った俺はとっさに離れた。 「もう。行くよ光」そのまま美月は歩いて行ったが 俺はまだうれしさを隠さずにはいられなかった。 「やっぱり夢だったんだ。」とホッとした瞬間、 「ドスッ」  「え、美月?」 いきなり無理やり隠そうとした記憶がブワッとよみがえってきた。 そうだ、よく見ればこの場所もこの服装も全部美月が刺される 少し前の瞬間だったじゃないか!!? 「ドスッ」「ドスッ」嫌な音ですぐさま美月のもとへ駆け寄る。 逃げる通り魔と入れ違いに美月を抱える、が... 「ひ、光」と美月が差し伸べた手をつかもうとした瞬間、 「ガクッ」   美月が......死んだ。 すると、「五分前に戻ります」という機械みたいな声がした瞬間、 また目の前に彼女がいた。 これはただの夢か?いや、違うこのまぶしさ、この感触、全部本物だ!! もしかしたら時間を戻すことができるとか?と思ったができるわけもない。 とっさに時計を取り出したら美月が死ぬ五分前だった。 美月を守んなきゃ!!! するともう美月の前方に包丁を持った男が!! 「美月ーー!!!」とっさに持っていたポーチで包丁をブロック!!したと思ったが中に入ってるコインの隙間から万札を突き破って心臓に包丁が到達した。 そのまま美月は死んだ。 「くそっ!!どうすれば美月を守れるんだ!?」 「五分前に戻ります」  「ドスッ」 「五分前に戻ります」 「ドスッ」 「五分前に戻ります」      「ドスッ」 と刺される時間こそは少しづつ変わるが美月が死ぬ繰り返し。 「どうすればいいんだよ!!」つい俺は叫んでしまった。 すると美月は一瞬驚きはしたがすぐに近づいて「どうしたの?」と 優しく声をかけてくれた。あれ?俺たちは破局寸前だったんじゃなかったのか?
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!