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今宵の企み
ひとりの魔女がある人物に呪いをかけるべく、星降る夜に儀式をはじめる。ひとり部屋の中、魔女は頭に思い描く悪だくみがすでに成功したかのような不敵な笑みを浮かべ、床の上に呪いの道具を並べる。
三角形が組み合わさった魔法陣、真鍮製の燭台と、それに乗せるための蝋燭、まん丸で透明な水晶玉、瓶詰めにされた毒蜘蛛、銀製のナイフ、人を惑わせる薬草をひとつかみ分、イモリの目玉、カエルの舌、中身をくり抜かれた腐りかけたカボチャ……。
魔女は燭台を魔法陣の四隅に配置し、慎重に火を灯す。あかあかと燃える炎が照らすのは、魔女のしわくちゃの顔。魔女の顔じゅうに走るしわは炎のせいで余計にくっきりと深い彫りを与えられる。魔女の浮かべる不敵な笑みはよりいっそう不気味に浮かびあがる。
「さて、はじめるとしましょうか……」
魔女は魔法陣に向かって不思議な呪文を唱えはじめる。
「うんにゃらかんにゃら、うんにゃらかんにゃら……。盗人の守護神よ、今宵の企みを上手くお導きくだされ……」
それから魔女はある人物の顔を思い浮かべながら一枚の紙を手に取り、その紙に相手の名前と悪事をすらすらと書きはじめる。
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