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まだわからないのか!
「おい、なにやってるんだ! おれを縛ってどうする!」
巨大な毒蜘蛛が放ったクモの糸にぐるぐる巻きにされた金持ちが叫ぶ。怪盗はいかにも愉快そうな笑みを浮かべる。下働きの男は予期せぬ状況にあっけに取られたままだ。
「言っただろう? 盗人をこらしめるために俺はここに来たって」
巨大な毒蜘蛛は落ち着き払ってそう言った。
「盗人って、こいつらのことだろ。おれはこの屋敷の主人だ。こいつらにカネを盗まれる方なんだよ。わかったらさっさとこの糸を解いてくれ」
金持ちは巨大な毒蜘蛛に軽蔑の視線を向ける。
「まったく、しょせん蜘蛛は蜘蛛だな。人間並みのまともな脳みそも持っていないんだな」
「まだわからないのか! この盗人めが!」
巨大な毒蜘蛛が怒りを含んだ声で叫んだ。あまりの迫力に金持ちは驚いて体をビクッと震わせる。
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