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反論したところで
「お前の持ってる農場でも工場でも、いつもそうやって怒鳴り散らすばかりじゃないか。そのくせ、安い給料で農民や工員をこき使うばかりでロクに給料は上げないし、休みだってまともにやりゃしないだろ?」
毒蜘蛛の言葉に金持ちは何か言いたそうだ。けれど、反論したところで身体をぐるぐる巻きにしているクモの糸がほどけることはないと諦めているようでもある。
「お前はいつもこんなことばかり怒鳴り散らしてただろ?
『肥料が足りない、農具が古いなんて言い訳ばかりだ。どうやったら今ここにあるもので作物が大きく育つかを考えなきゃ。これだから学のない農民は困る』
『まったく文句ばかり言いやがって! 誰がここで雇ってやってると思ってるんだ! 文句ばかり言うんだったら、さっさと出ていけ!』
『もっと休憩時間が欲しい? 工場の空気が汚くて病気が増える? なんとかしてもらわないと身体がもたない? 何を言ってるんだ、俺から給料もらってる身分のくせに』
『そんなことは、もっと生産効率を上げてから言うもんだろ! ロクに働きもしないくせに文句ばかりつけやがって! 給料下げるぞ!』
俺から言わせれば、お前は一生懸命に働いてる農民や工員に本当ならもっと給料を払ってもよかったんだ。新しい機械や設備を入れて肥料を買っても良かったんだ。
でも、お前はそのカネが惜しいと機械も肥料も買わず、給料は安いままにしておいた。それで浮いたカネを自分の金庫の中に仕舞い込んだ。
だから俺に言わせりゃ、お前は立派な盗人だね。ちゃんと真面目に働く人間が本当ならもらうはずだったカネをかすめ取った薄汚い盗人だ」
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