巨大なサナギ

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巨大なサナギ

 寝室のベッドの上に巨大なサナギが転がっている。クモの糸でぐるぐる巻きにされた金持ちだ。下働きの男は恐ろしさのあまり、ガタガタ震えることしかできない。 「大丈夫だ。生命まで奪うことはしない」  怪盗が下働きの男にそう告げた。下働きの男は怪盗に聞きたいことがたくさんある。怪盗はこうなることを知っていたのか? 巨大な毒蜘蛛を目の前にして、なぜ動じないのか? 「そろそろいいだろう。ここから出してやろうか」  怪盗が巨大な毒蜘蛛にそう告げる。巨大な毒蜘蛛がベッドの上のサナギに近づく。手にはナイフを持っている。そのナイフの刃にまとわりついているのは、べっとりとした得体の知れない液体。星明かりしかないのでよく見えないが、赤黒いというか不穏で不気味でべとついた液体であることはたしかだ。  巨大な毒蜘蛛は手にしたナイフをサナギに突き立てる。それからすっとナイフを動かし、サナギを切り裂く。
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