泥棒に加担するなんて

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泥棒に加担するなんて

「ここが旦那さまのお部屋です。旦那さまの眠るベッドの奥に金庫もあります」  下働きの男の言葉に怪盗はうなずく。 「わかった。いよいよだな」  怪盗は音を立てないようにゆっくりと扉を開くと、部屋の中へと忍び込む。そして下働きの男もあとに続くように促す。下働きの男はためらいつつも、屋敷の主人たる男の部屋へとそっと忍び込む。  怪盗から金をもらい、計画に加担したまではよかったものの、下働きの男は今ではすっかり緊張して喉がカラカラだ。泥棒に加担するなんて、生まれて初めてだ。これでうっかり捕まりでもしたら、重罪は免れないだろう。縛り首になってしまうかもしれない。金持ちの寝室に侵入した下働きの男の胸に恐怖と後悔が広がる。
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