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やれるもんならやってみろ
巨大な毒蜘蛛が言ったそんな言葉に、金持ちはこいつは自分の味方だと確信する。
「なるほど、こいつはいいや。ちょうど今、こいつらがおれの金庫からカネを盗み出そうとしてやがったんだ。お前さんのそのクモの糸でこいつらをぐるぐる巻きにして警察に突き出してしまえ。いや、クモの糸でそのまま縛り首にしてやってもいいぞ」
下働きの男は巨大な毒蜘蛛にすっかりおびえて床にへたり込み、ガタガタと全身を震わせている。金持ちはそんな下働きの男を見ながら、愉快そうな笑みを浮かべる。お前もバカなことしなきゃよかったのになあ。そんな笑みだ。
一方、下働きの男の胸に後悔と恐怖が押し寄せる。泥棒の片棒担ぎなんてしなきゃよかった。その上、あんな不気味で巨大な毒蜘蛛に縛り首にされてしまう。下働きの男の顔はますます青ざめる。後悔の念に押し潰れてしまったかのように。
そんな下働きの男のそばで、怪盗はやれるもんならやってみろと挑発するような余裕の顔つきだ。
「ほら、毒蜘蛛。一気にやるんだ!」
金持ちが巨大な毒蜘蛛を挑発する。巨大な毒蜘蛛はその声に呼応して糸を放つ。
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