三杯目 看板娘

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「『恐いお兄さん達』ってなんだよ」 「下層で荒稼ぎしているパーティのお兄さん達。彼女はその()人目のメンバーだ」  青年が素朴な疑問を口にした。 「7人目? パーティは6人までだろ?」 「どうして?」  青年は養成所の『冒険者概論』で習ったことを思い出す。 「ダンジョン内で連携が取れるのは6人が限界だ」  一度もダンジョンに入ったことのない青年が胸を張って答えた。  しかし男の反応は冷ややか。 「順序が逆だ。()()のダンジョンは冒険者に実戦経験を積ませるために【宮廷魔術師】が趣味と実益を兼ねて作ったダンジョンだぞ。わざと6人までしか連携できないように()()()()」  ささやかな知識さえも否定されて青年が口を尖らせる。 「なんでわざわざそんなことしてんだよ」 「魔王対策に冒険者を利用しているのは、周辺諸国を刺激しないためだと言っただろう。1パーティに十人も二十人もいたら特殊部隊と変わらん。それでは意味がない」 「だったらやっぱり7人目なんてダメじゃないか」 「ダンジョンで活動できる人数を制限しても、ダンジョンの外では関係ない。建前と実態は違う」
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