苦悩する王子(side アドルフ)

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* 「う、うぅ……」 私は、懐から丸薬を取り出し、それを喉の奥に放り込んだ。 こんなものを飲んでも、私の頭痛はおさまらない。 ただの気休めのようなものだ。 そんなことはわかっていても、それでも薬を飲んでしまう。 それほどまでに酷い頭痛なのだ。 頭痛の理由はわかっている。 おそらく、多過ぎる記憶のためだろう… (自分のかけた術に苦しめられるとは、なんとも愚かな話だな…) そう…私は、かつて、魔導士だった。 その時に、アリシアという王女を愛した。 「愛」などという単純な言葉では言い表せない程、私は王女を深く愛していた。 しかし、私が彼女に愛されることはなかった。 しかも、王女はまだ18という若さで、逝ってしまった。 悔しいことに、王女には想い人がおり、そいつの死を悼み、自ら死んでしまったのだ。 王女の心は誰にも渡さない。 私は、王女の愛する者に呪いをかけた。 死の呪いを… その術は、王女の愛した騎士の命を奪った。 しかし、王女がそいつの後を追うなんて、考えてもいなかった。 私の心はかき乱された。 そこまで王女に愛されているあいつのことが憎らしくてたまらなかった。
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