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翌日、また仕事帰りに本屋に寄った。
この前と全く同じ時間だ。
あいつはいるかしら。
もし会ったら、文句言ってやる。
しばらく自分の好きなコーナーを回ってみたが、あいつの姿は見えない。
帰ろうとしたとき、「あの」と男性にしては甲高い声が聞こえた。
振り返ると、前髪の長いあいつがいた。
「あ、あなたこの前の」
「先日は、すみませんでした」
「そうよ、ていうか星の数デタラメに言って」
「え、デタラメ?」
「全然amazonと違うじゃない、見てよ、『シチュエーション・ラブ』は星4.5の傑作だったから」
私はスマホを取り出し、検索しようとしてみる。
「ああ、それはamazonとは違いますよ。僕の読書記録では星3なんです」
そう言って、彼は背負っているリュックから「私的読書記録Ⅻ」と書かれているB5のノートを取り出した。
ニコニコしながら、彼はページを開き、
「シチュエーション・ラブ → ★★★☆☆」
と書いてあるページを私に見せた。
私は唖然とした。
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