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初めての結婚記念日 12
「時間ぴったり!蓮、椅子に座ってちょっと待ってて」
真司は椅子を引くと、不思議そうにする蓮を座らせた。
サプライズって…、お客様?
2人っきりで過ごせると思っていた蓮は、すこしがっかりする。
「あ、入ってください。こっちです」
玄関から真司の声がする。
やっぱりお客様だ…。
暗い表情になってしまった蓮は、その気持ちを吹き飛ばすように軽く頬を叩く。
真司が考えてくれたことだ。
みんなで楽しまないと!
蓮は椅子から立ち上がり、客を迎えに行こうとすると…。
あれ?
そこに現れたのは料理が乗ったカートを押す、ボーイが3人。
「ありがとうございました。あとはこちらでしておきます」
「何かあれば呼んでください。それでは素敵なひとときを」
礼を言った真司にボーイ達は頭を下げ、部屋を出た。
どういうことだ?
カートに乗った豪華な料理と真司を、蓮は交互に二度見する。
「初めは夜景が一望できるレストランでディナーしようかと思ったんだけど、この部屋からの景色を見た時、『ここで蓮と2人っきりのディナーがいいな』って思って…。蓮はレストランが良かった?」
またしても真司はちょっと不安そう。
「まさか!!ここからの景色は最高だし、真司と2人っきりでディナーできるなんて思ってもなかったよ!俺も2人っきりがいい!」
今日だけで真司から数え切れないほどの驚きをもらった蓮だったが、今が1番の驚きは真司と2人だけの時間に心が踊った。
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