初めての結婚記念日 14

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初めての結婚記念日 14

「とにかく、付け合わせは『生野菜のなんとか』前菜はで『何かのムースになんとかを添えて』って事を、料理長がカタカナで言ってた」 「え!?料理長が!?」 料理長って、世間で言うあの料理長って意味だよね。 このホテルで1番偉いシェフだよね。 そのシェフから教えてもらった? 「そう、料理長。料理の打ち合わせ何度もしてたら、料理長直々に相談に乗ってくれるようになって。いい人だよ」 「あははは。普通はなかなか会えない一流ホテルの料理長の事、『いい人だよ』って言える真司が凄い」 やっぱり真司は凄い。 普通は気後れしそうな人とも仲良くなれて、打ち解けられるなんて。 さっき来てくれたボーイも、ホテルのロビーで会ったバドラーとも親しく話していたのは、そのせいか…。  どんな人とも仲良くなれる真司の事が、蓮は誇らしかった。 でもそこまで仲良くなるのは、ある程度時間と面識が必要だし…。 「ここのホテルって、なかなか予約取れないんじゃないのか?」 「ああ。だから早めに予約したんだ」 「いつぐらい?」 「1年前」 「1年前!?!?1年前って結婚した時だよ」 「うん。結婚する前から、『蓮と結婚できたら、このホテルで記念日を祝う』って決めてたから。俺の夢、また一つ叶ったよ」  真司は屈託のない笑みを浮かべる。 「そんな事考えてくれてたなんて…。本当にありがとう」  蓮の瞳から、嬉し涙が溢れた。
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