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ありがとう
散り行く花火の余韻に浸り、少しだけ赤く染まった君
潮騒のような喝采が遠く聞こえる宵闇の隅に佇む僕達
祭りの賑わいを掻き消す告白は吐息のように囁かれ
きっと君の口元に届く
僕達は花火を見上げる
君は笑っている
僕は、君を、
重なった手
重なった唇
重なった心
だけど、心臓が早鐘を鳴らしていたのは僕だけだった
「・・・・ありがとう」
そう呟いた彼女の視線を、僕は追う事が出来なかった
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