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予想外の事態が立て続けに起きすぎて、そろそろ考えることを諦めかけていたのだ。意識だけは戦闘艇――そして、その一方で反転して逃げに入っている偵察艇へと向けたまま、相手を絞って言葉を投げる。
『よう、おはようさん、ロイド。何かうちの船籍の連中が、件の教団の船に襲われてたんだが、一体どうなってんだ?』
我らが基地司令ロイド・グレンフェル大佐は、教官時代から何一つ変わらない、やたら癖の強い女言葉で言う。
『ええ、こちらも確認してる。まあ、朝のミーティングにも参加せず、勝手に飛び出した馬鹿にしてやる説明はないけど』
『おおっと薮蛇』
どうやら、今日の全体予定も聞かずにふらっと『エアリエル』で飛んでしまった俺が悪いっぽい。何となく予想はしてたけど。いやほら、飛びたかったんだからしゃーないよね。押さえきれない本能ってあるじゃない。
ロイドも俺のこの持病は嫌ってほどわかってるはずで、それ故だろう、俺にだってわかる呆れと諦めを含んだ溜息をついて、投げやりに言う。
『ま、出撃指示の手間が省けたと思うことにしましょ。さて――翅翼艇第五番「エアリエル」正操縦士、ゲイル・ウインドワード大尉』
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