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ああ、つまらねえ。
もう一度口の中で呟いて、『エアリエル』に潜る。
体を置き去りにして、水中に潜るように、魂魄だけが『エアリエル』と同期する感覚を確かめて。長い尾を持つ細くしなやかな船体から伸びる、薄青の半実体の飛行翅を、強く、羽ばたかせる。
霧を蹴って、ぐん、と加速し、空気の塊が船体を叩くのを肌で感じる。それでも、まとわりつく霧を振り払うことはできない。
それはそうだ、魄霧の海は全ての源、俺たちが息をしてるのも、飯を食えるのも、魄霧のお陰だ。もちろん『エアリエル』が飛ぶのだって、大気中の魄霧を取り込んで、内部機関で圧縮して飛行力に変換しているから――訓練生時代に嫌ってほど習ったことだ。
だから、魄霧を振り切ることなんて、できるはずもない。仮にできたとすれば、それは『エアリエル』が墜ちる時だ。
なのに俺の脳裏にちらつくのは、いつだって、あの青いカンヴァスだ。光に満ちた青い空と、その青を鏡のように映しこんだ、遥かに遠くまで続く水面。
そして、そのカンヴァスを夢見るような目で見つめていた、あいつの姿。
「ああああ、畜生!」
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